侍ジャパン前監督・栗山英樹 WBCで一番印象に残る…チェコで見つけた「野球への愛」(2023年11月12日)

  • 2023.11.12
  • WBC
侍ジャパン前監督・栗山英樹 WBCで一番印象に残る…チェコで見つけた「野球への愛」(2023年11月12日)

WBCでは、数々の名場面がありました。強い弱い勝った負けたを別にして、栗山英樹さんが一番印象に残ったチームは、チェコというチームでした。選手たちが野球を愛し、リスペクトをし、全力を尽くす。何でそんな姿になっているのか、どうしても見てみたい。栗山さんがチェコに行ってきました。

■「こういう感じだったよな、最初の野球は」

中央ヨーロッパ、チェコ共和国。北海道とほぼ同じ大きさの国土に、芸術や文化があふれ、歴史ある街並みが広がっています。

栗山さんがまず訪れたのは、やっぱり野球場。すると、出迎えてくれたのは、WBCチェコ代表のハジム監督です。

3月、本大会に初出場を果たした代表チームは、そのほとんどがアマチュア選手。決して野球大国とは言えない国ですが、ここに訪れたかったのには、強い理由がありました。

3月、WBC。日本と1次ラウンドで対戦したチェコ。特に印象に残ったシーンがありました。

足への強烈なデッドボール。一度は倒れ込みますが、痛みをこらえ全力疾走。試合には敗れたものの、勝利した日本をチーム全員で称え、応援してくれた球場のファンたちにも拍手を送りました。

栗山さん:「相手に対して敬意を持って、『あなた方になんとか近づきますよ』みたいなメッセージを感じながら、すごく心地良く戦わせてもらった。『こういう感じだったよな、最初の野球は』と」

■「野球への愛」歴史に翻弄されたチェコ

心を揺さぶったチェコの野球。その原点を探るべく、野球協会を訪ねました。

栗山さん:「どうしてあのような気持ちで野球ができるのか知りたくてチェコに来た」

チェコ野球協会 ディトリッヒ会長:「謙虚な姿勢と相手へのリスペクトはいつも持っています。スポーツへの愛情でしょう。チェコで野球をする人はただ『好き』という気持ちからやっているんです」

「野球への愛」。そこには、忘れてはならない出来事が関係しています。

ディトリッヒ会長:「野球は資本主義的なスポーツとみなされて迫害されてきたんです。日本やアメリカ的ということは、社会主義体制で好ましくないものでした」

チェコの野球は、歴史に翻弄(ほんろう)されてきました。

1968年に首都・プラハで起きた、民主化を目指す運動「プラハの春」。しかし、ソ連が市内に戦車を送り込むなど軍事介入し、これを抑え込みます。チェコは社会主義の統治下に置かれ続けたのです。

アメリカを象徴するスポーツである「野球」を自由にやる環境は、ほとんどありませんでした。

当時

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